今回は、進路とは直接関係ないですが
90年代初頭の大学入試の話をしたいと思います。
なぜその話をするのか。
その頃の受験生は今、40代後半~50代になっています。
彼らの時代の受験事情が「40代以上の大卒平均収入」に
少なからず影響を与えていると考えるからです。
1990年代前半は入試が難しかった
ネット上で1990年代初頭の代ゼミの私立大学の偏差値表が落ちていました。
(すでにサービス終了しているサーバーが使われていたため、リンクは張りません)
その偏差値表によると
- 今ならFランクと呼ばれる大学でも偏差値45くらいある
(最低でも地方大学の41くらい)。50近くに乗せているところも。 - 大東亜帝国で50~55
- 日東駒専で56~60
- MARCHで60~65
- 早慶は66~70くらい
※代ゼミ模試(現在は廃止)の偏差値の出方は、河合より高く出て、進研より低く出る感じ。
と、大学に入るだけでも簡単ではなかったことがわかります。
上のほうの大学は今と大差ない気もするけど、上位層の実力がそれほど変わらないからだと思う。
選り好みせずに下のほうの大学に行くのですら簡単ではなかった。
おそらく、学年の半分くらいにつけてなければ無理だったのでは。
大学進学を希望していても、学力であきらめた人も少なくはなかったと思います。
90年代前半頃までに大学に行けたのは「選ばれた人」
今の40代後半~50代の時代に大学に行けた人は、
といえます。
勉強をある程度まじめにしないと無理。
この頃は大学に入るために(高望みしなくても)浪人せざるを得ないケースがあったと言われています。
それをうけて、大手予備校はかなり盛況だった。
そういう時代でなくなったから、代ゼミは規模縮小を余儀なくされたといえます。
(代ゼミの衛星講座出身者としてはちょっとさみしい)
高校の偏差値ー10が「普通にやってて狙える大学」といわれるので、
偏差値41の大学に入れるのは偏差値51くらいの高校の人が多い。
一番低い偏差値であっても、
全体の半分くらいの学力がないと大学には手が届かなかったのではないかと。
どの大学に入ってもある程度の基礎学力は担保できていたと思われます。
大学が難しかったころと今の「大卒」は性質が違う
大学入試自体の性質が変わっているため、大卒者の性質も大きく変わっています。
今の大卒→金さえ払って大学を選ばなければ入れる
特に、Fランク大学に関して言えば、90年代初頭まではなかったといってよいと思います。
この層は90年代初頭なら、高卒か専門短大卒にならざるを得なかった。
※某ラジオによると、Fランク大学のようなところができたのは1998年だそうです。
この層が今40代後半。
統計によると40代前半から大卒の平均賃金がかなり上がります。
それは、年齢が上がって昇格するせいもありますが、
大学が難しかった世代が引き上げている可能性が高いです。
※92年までの受験生ならギリギリ就職氷河期を避けられた
年功序列制が崩れてきていることもあり、
今の代が40代になるころには下がっている可能性が高いと思います。
いつの世でも難関大から一定数のエリートは出るので、
難関大学に行く人にとっては関係ないです。
でも、学力が高くない人にとっては重要なことです。
「中身高卒レベルが大卒の肩書を得ただけで有利になるか」という
平均賃金とは別の問題があるので。
余談:医学部と獣医学部だけは例外
全体的に難しかった当時の大学入試ですが、例外もあります。
このころは、
- 医学部で一番低い偏差値は51
- 獣医学部で一番低い偏差値は54
でした。
私立医学部より難しい私立薬学部が普通に
たくさん?存在していた時代。
(現在はKOとT京理科だけ。MARCHに薬学部がないことを考えれば妥当か)
医学部は現在は少なくとも63を超える偏差値(と多額の金)が必要とされます。
獣医も61くらいかな…
最低でも、MARCH上位~早慶(理系)の一部に近いレベルの偏差値が要求される。
「親の時代よりも医学部に入るのが難しくなった」と言われていましたが、
データからも裏付けられる形ですね。