経団連の会長が
という発言をしたことがニュースになっていました。
- 雇用システムを変えていく方向性
- 現状では、スキルを身に着けても非正規だと正社員と待遇に差があるということ
(が問題点だと考えている)
ことについて記事では言及されていました。
これは「解雇規制」が緩和される可能性があるということだと思います。
システムを変える、スキル重視にする、
となるとゆくゆくはそうなることを見越しているような気がします。
そうなると、採用基準そのものが変わってくる可能性もあるでしょう。
「大手企業に入れさえしてしまえば安泰」ではなくなります。
使えないと切られてしまうからです。
現状の解雇規制の厳しさについて
現状、企業が従業員を解雇するためにはハードルの高い基準があります。
業績が悪いから希望退職を募るのは一定の条件で認められる。
ただ、
→回避するために企業側が最大限努力すること
→解雇される人を選ぶ方法に「合理性」が必要
→従業員への十分な説明や協議などを経て納得してもらわなければいけない
とされている
参考 : 労務安全情報センター(整理解雇の4要件)
現実としては、
「退職金を割り増すので希望者は退職してください」
という形式をとることが多いです。
次の職場からお声がかかりやすい優秀な人が率先して退職してしまう問題があるけど、
法規制の関係上仕方がない。
まして、
「うちに合わない」「使えない」程度で簡単にやめさせることは難しい。
相応な事情-
たとえば、長期間にわたる欠勤、かなりの問題行為、「重大な」レベルで使えない
などでないと解雇が認められないことが多い。
特にコンプライアンス遵守(法律を守ること)が求められる大企業ではその傾向が強いです。
自主退職に追い込むための「追い出し部屋」なるものが存在するのもそれが原因。
「やめてくれ」と法的に言えないから、左遷させて音を上げるのを待つ。
解雇規制のおかげで、標準的な大卒新卒は強かった
となると、企業側も対策を打ちます。
正社員を採用する=やめさせられないので、間違えるとリスクが高い。
だから、活躍できる可能性が高い属性(学歴など)を重視するなど、
保守的な採用方法になりがちです。
奇抜な人材をとるよりも、今まで活躍していたようなタイプの人をとる。
学歴フィルターもそれが一つの原因でしょう。
(非体育会系の)低偏差値大学卒を採用することはリスクがあります。
使えない確率が統計的に高いからです。
クビにできるなら、採用してくれるかもしれませんが、
ダメなので企業側も保守的な採用方針を取らざるを得ない。
学歴フィルター以外にも、リスクが高そうに見えてしまうと敬遠される。※
お荷物社員を40年間抱え続けるリスクは大きいので。
ある程度は仕方なくても、できるだけその数は減らしたい。
逆に、リスクが低い人(高学歴でコミュ充、普通になり切れる人)は有利。
案外、新入社員が似たようなスーツを着た量産型なのはこういった理由もあると思う。
量産型にすらなれない人は有名どころの新入社員にはなれていないのかも。
それだけではもちろんダメだけど、まず第一関門はそこだということ。
※ なので、当ブログでは「普通」になり切れない人の文系大学進学をすすめていません
目に見えてわかるマイナスポイントがあると敬遠されるのが実情です。
正社員はクビにし難いため、非正規雇用が多くなった
正社員は首にしにくい、でも人がたくさん必要な時とそうでないときがある。
このことへの対策として企業がとった手はおもに2つです
- 非正規雇用を増やす
- 正社員を残業させることで需給調整する
正社員を雇うとやめさせにくい。これでは需要の変化に対応できない。
それで企業がとった手は期間雇用の非正規社員を増やすことだった。
非正規社員は給料も安上がりで済むし、クビにしやすい。
労働者の側としては、短時間だけ働きたい人は非正規しかなかった。

このため、労働時間が限られる子育て主婦はアルバイトをする人が多かった。
一番問題だったのは就職できない氷河期世代が
男女問わず非正規雇用に流れたことだろう。
安定した雇用を得られない人が増えた。
一度新卒で大企業に入れればほぼ勝ち確だった
やめさせにくい、ということは、
企業の景気悪化などの事情がなければ、一度新卒で大企業には入れれば
しがみつくことさえできれば勝ち確だったということです。
だから、それをわかっている人は就活に力を入れます。
逆に、新卒で非正規雇用になってしまうといくら頑張っても給料は伸びにくい。
早い話、いい大学に行けて、外面をよく見せられる人が
仕事の能力にかかわらず有利だったということ。
解雇規制が緩和されると変わる点ー仕事ができない人に厳しくなる
もしも現状の解雇規制が緩和され、企業が従業員をクビにしやすくなると、
- 企業がある程度リスクをとった採用ができる
- 転職の活発化
- 文系大学の重要度が減る(と思われる)
- 面接などでの外面だけよくて仕事ができない人には厳しくなる
などが考えられます。
40年クビにできないという制約がなくなるので、
今までハネていたような属性の人も採用しやすくなる。
これにより一部では、学歴フィルターも緩和されるかもしれない。
ということはほぼ間違いないでしょう。
仮に大手企業に紛れ込めたとしても、クビになってしまう。
逆に、属性に恵まれていなくても有能ならチャンスがあるということでもあります。
ブラック企業はなくならないが形を変えると思う
解雇規制緩和の話で、

ブラック企業には人が集まらず、淘汰される
という話がよくされます。
ただ、筆者は別の形でブラック企業は数を減らすにしても生きていくと思っています。
転職が活発になっても枠自体が増えるわけではないからです。
むしろ今よりもブラック企業の中は厳しい環境になるかもしれない。
いい職場にいる人=能力の高い人
ブラック企業にいる人=能力が低い人
となっていくのではないかと思います。
仕事ができる人はより良い企業が採用していき、
そうでない人はブラック企業へ、と二極化していくとみています。
能力と仕事場の質が結び付きやすくなると思います。
解雇規制が緩和されるにしてもアメリカレベルまで振り切った方向
(できる人でも容赦なく切られることがある)
にはいかないような気もするし。
まとめーこれからの進学を考える上で重要なのは有能さ
現状:企業が正社員を首にしにくい→属性と外面が重視される
解雇規制緩和:企業が正社員を首にしやすい→有能さが重視される
こうなると、学生がとるべき戦略も変わる。
今までは大学に進学しておけばいい企業に引っかかれる可能性もあった。
でも、解雇規制が緩和された場合、
無能な人が文系大学へ行く意味が少なくなる。
仮に入れても首にされるので。
特に借金していったら目も当てられない。
なので、自分が有能か無能かを進学前に見抜いておく必要がある。
無能なら無理に進学しないことも戦略の一つ。
今後どういった結論になるかわかりませんが、
注視しておくべき流れなのは間違いないでしょう。